SCMトーハン上尾様
出版流通大手の同社では雑誌SCMを推進し、雑誌流通の効率化と高度化を進めています。三機工業は、トーハン上尾センター様の物流情報システム・情報通信・FA機器など基幹要素技術を三位一体のシステムとして開発、同社のSCM推進に貢献しています。
雑誌は、全国どこの書店・コンビニエンスストア(CVS)などで、同時期に同一価格で発売されます。
変化の厳しい現在、消費者ニーズにマッチした出版物を正確に、かつ安価な物流コストで、必要な量を、必要な場所へ、タイムリーに供給することが必要です。
そのためには、「最適な作業指示」「商品の入出荷」「FA(ファクトリ・オートメーション)機器」について、デジタルで目に見える管理が求められます。
当社は、出版流通大手である(株)トーハン様の依頼を受け、物流情報システム・情報通信(高信頼性ネットワーク)・FA機器といった基幹要素技術を三位一体のシステムとして構築し、高品質・高効率な雑誌発送システムを開発しました。
雑誌発送業務の概要
雑誌の銘柄数は3400点強あり、日々(株)トーハン様から約600万冊に及ぶ膨大な雑誌が25000店以上の取引先に配送されます。
各出版社から製本されてくる雑誌(月刊誌・週刊誌など)が搬入されると、(株)トーハン様は、店舗別に、銘柄(アイテム)と部数(冊数)を仕分け、宛名紙を添付後、フィルム包装し、輸送会社に引き渡し、全国の小売店に届けます。
開発の狙い
今回の計画は、(株)トーハン様が推進している「雑誌サプライチェーンマネジメント(SCM)」の中の雑誌発送改革です。
すでに稼働している雑誌返品システム・雑誌配本システムと融合し、出版業界全体の売上の増大と返品の減少に大きく貢献します。
雑誌発送改革では、最新鋭の物流情報システムの導入により品質の管理を徹底し、事故率10万分の3以下(10万冊発送してミス品3冊以下)の高品質・高効率物流を実現しています。
これにより、小売店での検品レスを可能にし、経営コストの削減に寄与するとともに、販売機会を確実に掴むことができます。
物流情報システム
今回のシステム構築にあたっては、すべての商品を同一の品質で取引先へ配送するために「雑誌物流情報センター」を設置しました。
当センターでは、あらゆる発送データを一元管理し、各作業拠点への作業データ割付・配信・実績収集をおこないます。
本システムの特徴として以下があげられます。
・環境、業務量変化に柔軟な対応ができるよう発送計画の動的変更が可能
・各工程での検品結果を反映した出荷検品により品質向上を図る
・各工程の作業進捗監視により遅滞なく作業の効率化を図る
・作業実績データの蓄積管理とそれによる各種統計資料で管理レベルの向上を図る
・運用管理端末、機器制御端末の統一を図り、全作業拠点で同一の操作性を実現
・システムの基幹サーバはホットスタンバイ無停止システムとし、ミラーディスクによるデータ保全をおこない高信頼性を実現
・各発送機器毎のコンポーネントシステムとし、業務量変動に追従した拡張が容易な構成を実現
・各センターを結ぶ広域LAN(WAN)のネットワーク上の機器やトラフィック量を監視し、障害の絞り込みや早期発見を実現
・原価管理システムの導入によりローコストオペレーションを志向
FA機器
雑誌の発送作業は、「束発送」と「バラ発送」の2形態があります。「束発送」は製本所から搬入された結束商品に店舗別の宛名紙を添付・包装し出荷します。「バラ発送」は店舗別に複数の銘柄を必要数ピッキングし宛名紙を添付・包装(詰め合わせ)し出荷します。いずれの発送形態も自動機械設備と人手作業の2種類で構成されています。これは、大量品は規格の統一性があるため自動機対応向きという特性があり生産性・品質の確保という効果があるからです。一方人手作業は、多品種少量品のためスピードと間違いのない発送が必要となります。本システムでは人手作業をおこなった部分は、必ず自動検品システムを経由しミスを発見・修正する仕組み(自動検品システム)を導入したことにより事故率10万分の3を実現しています。
自動機械設備は「束発送ロボット」「バラ自動発送ライン」があります。宛名紙等のライン自動発行を含め最大限ハンドリングの自動化を実現し、2シフトの生産体制を可能としました。人手作業は「束手動発送ライン」「コンベヤ発送ライン」があります。人手作業には、事故があるという前提に立ち、ミスを起こさない・起きたミスを自動で発見できる仕組みとして、自動仕分機・物の流し方・実績管理(事故内容、作業ピッチ)・商品データの管理を統計的に処理することにより、自ずと質の高い作業へ変革することができました。